前回、「日本の運転免許証の翻訳をお願いしたい」その1でザッと概略を説明しましたが、今回はNSW州で車を運転する際の特殊な翻訳事情について触れます。
繰り返しになりますが、私はNAATI公認の翻訳者ですが、交通当局の担当者でも警察関係者でもなく、弁護士でもないので、最新の確実な情報はこれらの担当者または領事館などに問い合わせることをお勧めします。
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さて、NSW州の場合は、豪州入りしてからの滞在期間が3カ月未満の観光客、または一時滞在者であれば、 日本の有効な免許証のNAATI公認翻訳があれば運転できます。もちろん、NSW州の道路交通法に従う必要があります。
NSW州に限ったことですが、豪州入りしてからの滞在期間が3カ月未満の場合と、前回説明した豪州滞在歴が3カ月を超える場合の翻訳要件について、一部で誤解・混乱・情報の交錯があるようです。
まず、NSW州政府のウェブサイトには以下のおとり記載されています。
赤枠で囲った部分には、「あなたの免許が英語で書かれていない場合は、[その]英訳も持参しなければなりません」とあります。翻訳者の資格要件については記述がありません。数年前にクライアントに聞いた体験談によると、Service NSWの担当者にNSW州で車を運転するだけならNAATI公認翻訳者による翻訳で十分だ、と言われたそうです。一方で、(免許書き換えではなく)ただ単にNSW州で車を運転する目的のためにも、Service NSWで申請した翻訳でなければだめだと思っていらっしゃる方が見受けられます。今回改めて、直接Service NSWに電話して確認しましたので、その概要を以下に示します。
結論から言うと、私が話したService NSWの担当者によれば、運転中になんらかの理由で警察に止められて運転免許証を見せる場合、観光客または一時滞在者で英文でない有効な海外の運転免許証を持っている場合には、それと合わせてそのofficialな翻訳を持参している必要があり、NAATI公認翻訳者による翻訳はこのofficialな翻訳にあたる、ということでした。
しかし、担当者のこの説明に至るまでに二回電話して二人の担当者と話したのですが、担当者自身理解していない部分があったので、皆さんが連絡した場合も混乱や誤解が生じているのだと思います。以下説明します。
まずService NSWの137788に電話して、海外の運転免許証の利用について確認したい旨を伝えたところ、Roads and Licencing Teamに転送されました。そこの担当者に上図の赤枠内の文面について、「この英訳はNAATI公認翻訳者による翻訳でいいのですか、または特定の団体からのものでないといけないのですか?」と尋ねました。
すると担当者の回答は、「当方ではMulticultural NSWの翻訳を推奨します。なぜならNSW州の運転免許証に書き換える場合、Multicultural NSWの翻訳しか受け付けていないからです」というものでした。
そこで私は「免許の書き換えについて伺っているのではない」と念を押したうえで、仮の話として友人や親せきが海外から来豪して一週間滞在し、レンタカーして運転をしたい場合を例に挙げ、上記のウェブサイトによれば英訳を持参することを含め、すべての要件を満たしていれば運転しても良いことになっているとことを説明しました。
そして、「Multicultural NSWによる翻訳を推奨していることは分かりましたが、それとは別のNAATI公認翻訳者による翻訳を持参していた場合、受け付けてもらえるのでしょうか、それとも警察が見た場合に何か問題になるのでしょうか?」と尋ねてみました。
すると担当者は、「確認する」と言って一旦保留にされたのですが、その後すぐに私は別件の仕事の電話が入り電話を切らざるを得ませんでした。
同日、気を取り直してService NSWの同じ番号に電話して、今度は別の担当者につながりました。この方にも「この英訳はNAATI公認翻訳者による翻訳でいいのですか、または特定の団体からのものでないといけないのですか?」という前回と同じ質問をしました。
するとこの担当者は間髪を入れず、「Multicultural NSWの翻訳でなければならない」と答えてきました。
そこで、前の担当者がMulticultural NSWの翻訳を「推奨」したことや、上記の仮の状況について伺いました。この担当者はNAATIの認定がどういうものかご存じないようで、「それはofficialな翻訳なのか?」と逆に聞いてきたので、NAATI公認翻訳者はオーストラリア翻訳・通訳資格認定機関(NAATI)の認定を受けていて、「Multicultural NSWはNAATI公認翻訳者を利用しているのですよ」と説明してあげました。
この担当者は確認のために電話をしばらく保留にした後で、「大丈夫です。NAATI翻訳はofficialな翻訳です」と先ほどとは真逆の回答をしてきました。
「では、海外から友人や親せきが来て、本人の運転免許証とそのNAATI翻訳を持参していれば、警察が問題視することはないんですね?」と念のために質問しました。
担当者は「そこなんです。もし警察に止められた場合、翻訳はただ単にだれかが翻訳したものではなく、officialなものでなければなりません。そしてNAATI翻訳はofficialな翻訳です」と仰いました。
以上、二回に分けて運転免許証の翻訳について取り上げましたが、参考になりましたか?前回説明した通り、個々人の事情に対応できるものではないですし、ルールが変わる可能性は常にあります。他の文書の翻訳と同様に、日本の運転免許証の英訳の見積もりをご依頼頂く場合も、NAATI公認翻訳者による翻訳で十分なのかどうか、使用目的や翻訳を利用する方の事情を考慮し、提出先に確認するなどの調査を行った上でご連絡頂ければ幸いです。
